
今回は、「母が幸せなら…」「私は別にどうでもいいけど、とにかく母のため…」と言い、自分の要求を通そうとするズルい相談者です。
加藤先生が怒っています。そして、加藤先生が痛い所をついてきます。
いい人ぶってトラブルを起こすズルい女の神回。
fa-check-circle放送を音声で聞きたい方はこちらから
目次
今回の相談について
パーソナリティ:加藤諦三
回答者:大迫恵美子(弁護士)
fa-check-circle相談者
63歳女性
fa-check-circle家族構成
夫…3年前に他界
娘35歳(夫・子供13歳・12歳)
※現在、娘家族と相談者の5人で同居
相談者の状況
相談者は63歳で夫は3年前に他界。
現在は、娘夫婦と孫の5人で同居している。
今回は、実家の90歳の母の相談。
相談者は3姉妹で、妹夫婦が母と3人で同居している。
妹はずっと仕事をしていたため、母が家の事をほとんどやり、孫の面倒をみてきた。
しかし、5、6年前から、体が弱くなり動けなくなってから、妹夫婦の態度が変わった。
母が経済的にもいろいろ出していたけど、出さなくなった事に対しての不満なのかもしれない。
要するに、妹夫婦と母の関係がうまくいっていない。
妹の夫は、婿養子として同居しているのだが、一緒になって母につらく当たる感じ。
相談者は、残り少ない人生の母を穏やかに暮らさせてあげたいと思っている。
こんな状態だったら、母1人でいたほうがよほどいいと思い、婿養子を一方的にこちらから解消できるか。それを聞きたい。
それと、婿養子を解消する場合は、こちらが金銭的に何か出さないといけないのかな、という相談。
加藤諦三:
一般的に、世の中でよく耳にする事はね。
子供の中の1人と親が同居しだすと、その親は別の子供の所に行って愚痴をこぼす。
こういう話はどこでも聞く事ですが、こういうのとは違うんですね?
90歳の母親と暮らして面倒をみるという事は、大変なことだと思うんですよね。
うーん。なんかちょっと…婿の方が…。
(加藤諦三:お婿さんが、あなたのお母さんにつらく当たっているという事ですか?)
そうですね。
つらくというか…話もしないというか…。
決定的になったのが、お金の紛失。
以前も、物がよく無くなり、「あれどうした?」と聞くと、「知らない」と言われる。
しかし、後になって婿が「あれはあそこに持って行った」など、あった。
(加藤諦三:お婿さんが、家のお金を持って行ってるということですか?)
そうですね。
そういった事があって、いざこざしてから、余計関係が悪くなった。
(加藤諦三:3人が揉めているので、もう養子縁組を解消しようと妹が言い出したんですか?)
妹ではないですね。
前から言っていたんですけど…あまりにも母のつらい顔を見ていると…。
(加藤諦三:つまり、養子縁組を解消しようと、お母さんが言い出したんですか?)
そうですね。
母もそのような事を口に出して…。
(加藤諦三:いや、母もそういう事をじゃなくて、最初に言ったのは誰ですか?)
うーん…。
母と3人兄弟で…。
加藤諦三:
要するに、お姉さんとあなたと妹がいますよね?
養子縁組を解消したいと言い出したのは、お姉さんですか?あなたですか?妹ですか?
あ、妹ではないです。
母と姉と私の3人でそいう話にしました。それで…あの~…。
(加藤諦三:いや、その時に誰か話の主導権を持っている人がいるでしょ?)
うーん。
母も年が年で、ちょっと物忘れもアレですから…。
姉と私で「養子縁組なんて解消できるかね、」って事で…。
(加藤諦三:それは、あなたの願望ですね?)
うーん?
そうー、願望というか、できたらという事で…。
加藤諦三:
できたら、あなたが解消したいという事ですね。
それができるんでしょうか?という事ですね。
そうですねぇ…。
回答者の意見
大迫恵美子(弁護士)
養子とおっしゃってますけど、養子縁組はきちんとされているんですか?
相談者:
母の姓になっています。
妹夫婦は、結婚した時には旦那さんの姓になっていたんです。
途中から、母と同居しまして、母の姓を名乗ったんです。
じゃあ夫婦で養子縁組となったわけですか?
(相談者:そうです。)
養子縁組と言うのは親子の関係ではあるけど、別れるとか取り消す時は、離婚の時とよく似た考え方になっているんです。
離婚であれば、例えば夫が「妻が気に入らん。」「出て行ってもらいたい」「料理が下手だ・掃除がいき届かない」とか。
いろいろ難癖をつけて出て行ってもらいたいと言い出した場合、これは通らないとわかりますよね?
相談者:
そうですよね。
母も「今更…、ここまであれして今更…」と言っているんですよね。
ただ、母の事を考えると、こんなんだったら1人の方がいいって思って…。
もし万が一、それが通ったら、出て行く時にお金の保証などは、しなくてはならないんですかね?
まぁ、それはどういう理由で出ていくかという事によるんですよ。
結局、離婚の時と同じ考え方でね。
「私たちはお互いにやっていけないわね、さようなら」みたいな、サバサバした離婚であれば、何も貰わないで出てくという事もあります。
一方、「浮気をして絶対に許せない」という離婚であれば、慰謝料というのが出てきますよね。
そのように、この養子縁組解消に至った原因が、誰のせいなのかによって、慰謝料とか財産分与など、お金を渡す事については、いくつか考えられる。
それに当てはまれば払わなくてはいけないし、当てはまらなければ払わなくていいという事になる。
どうも、さっきからおっしゃっている事が抽象的で、養子の方が気に食わないという事はわかるんですけど。
婚姻を継続しがたいような事由がある時に、離婚できるのと同じように、離縁も縁組を継続しがたい事由が無いとダメなんです。
継続しがたいというのは、一方的に気持ちの上でという事ではなく、社会常識と照らし合わせて客観的にそう言えるかどうか。
なんとなく、そりが合わないとか、物の言い方が気に食わないとか、そういう事だと難しいと思いますよ。
(相談者:やっぱり、決定的なこれってものが無いとアレですかね?)
決定的というか。
積み重ねであっても、客観的に見て「それは我慢できないね」ということなのか、「まぁ、誰でもそのくらいの事は我慢しているのではないでしょうか」と言われる事なのか。
そのあたりの所ですよね。
相談者:
ここまでこじれているのに、なんで…って…。
逆に、母を連れ出そうかって…。
そんな簡単に、引き取って「はいダメでした」ってわけにもいかないって、考えているだけなんですけど…。
それは、養子縁組を解消するとは別の話。
誰が扶養するのか、誰が介護するのかという問題になると思う。
それは養子縁組があろうとなかろうと、法律的には兄弟はみな同じなので、養子が看なきゃいけないという事ではありませんよ。
相談者:
母の家なので、母が出ていく必要は無いと思うんですよね。
母にとっては、父と暮らしていた家ですし…。
解消しなくても、こっちから「出てけ」と言えるもんでしょうか?
一方的に「出てけ」と言って、出て行かなきゃいけないかと言うと、それは長年そこに住んでいるわけですよね。
家の名義がお母さんにあるというだけで、出て行かなきゃならないというわけではない。
なので、話し合いで決めるしかない事なんですよ。
相談者:
とにかく、母を穏やかに、最後…。
うーん。過ごさせてあげたい。ただそれだけなんですよね。
なんといっても親族の事なので、強烈に何か一方的にする方法があるかというと、そういう物はない。
なので、全部話し合いで決めていかなきゃならないんですよ。
ただ、どうしても話がつかない場合は、調停で第三者を入れて話し合うなんて方法もありますけど。
あなたが一番いい方法と思っているのは、妹さん夫婦に出て行ってもらって、お母さんは一人暮らしになってしまうという事ですか?
(相談者:で、週に何回か介護の人に来てもらって、姉も週に何回か来て…。)
例えば、離婚の調停のように、離縁の調停というのもありますので。
(相談者:これは、母本人が申し込むという事になるんですかね?)
もちろん、ご本人はお母さんですけどね。
申立人というよりは、利害関係人という事で調停の場に行く事も考えられる、比較的ゆるやかな手続き。
そういうのを利用して、あなたがたの言い分を聞いてもらうという方法も一応ある。
相談者:
とにかく、母の事だけです。
笑顔で過ごしてくれればね。ただそれだけでいいって事で。
わかりました。
パーソナリティの意見
加藤諦三
今の大迫先生のおっしゃる通りだと思うんですけど。
あなた盛んに、お母さんが心安らかに、それだけです。お母さんの事だけです…。って。
お母さんをあなたが世話する事はできないんですか?
相談者:
そーですねー…。
私も引き取るだけの環境が整ってないものですから…。
じゃあ、お婿さんに「私があなたを嫌なんです」という事はできる?
または、お姉さんに「お母さん大切なんだから、お姉さん引き取ってよ」と。
相談者:
いやぁー。笑
ちょっと、人任せにはできないです。
人任せにはできないけど、私はやらないって事ですね?
相談者:
いやぁ、それは。笑
ちょっと、いろいろありまして、私がやるよりは妹の方がいいだろって事で。
うんうん。
それがいいんだったら、今の状態をみんなで助けたらどうですか?
相談者:
うーん。
とにかく、回り道しました。いろいろありました。
そうでしょうね。
ですからね、あなた自分の要求を人にかこつけて通そうとしちゃダメですよ。
私はどうでもいいんですけど、お母さんがかわいそうで。お母さんの事だけです。って、私が「無」であるなら、解決なんていくらでもつきます。
ですから、あなたの自分の本音!
相談者:
そうですね。
「修羅場をくぐり抜けなないと、解決策はない」と…。
それ、もう本当に、加藤先生の最後の一言をいつも楽しみにしていて。
はい。じゃあ今日も一言いいますからね。
じゃあ自分の要求をしっかり自覚してやってください。
リスナーの意見
素晴らしい!
本当にお婿さんがお金や物を盗んでるなら、追い出す理由になるでしょ。
窃盗なんだから。
揉めさせ屋っていうかさ、良い人のフリして揉め事を持ち出してくる人。
この相談者の本音を言います。
「妹の婿が気に入らないから追い出したい。母の遺産をあげたくないから今のうちに追い出したい。でも、母の介護はしたくない。」
いい人ぶってるけど、誰が聞いてもバレバレだね。
この相談を聞いて「私は別にいいんだけどね…」って言わないようにしようと思った。
しつこく質問して、「養子縁組解消を最初に言い出したのは相談者」と、本人に言わせたくだりは神がかってた。
三姉妹の犠牲になって生きてきたんだろうね…。
ままこの考察
いかがでしたでしょうか。
加藤先生の締めの言葉を楽しみにしていたようですが、今回の「自分がよい人になりながら、自分の要求を通すことはできません。」も、もちろん聞いていますよね。
解説するまでもなく、妹の婿が気に入らなくて追い出したいのは相談者という事が、ヒシヒシと伝わってきます。
だって、「お母さんは、今更…と言っている」と、離縁には消極的な印象でしたよね。
あなたなの!そこはまず認めて!
そして、「保証金は払う必要はありますか?」だの、お金の事ばっか気にしているのも気になりませんでした?
リスナーの声にもありましたが、私も母の遺産を婿に分けたくない気持ちがあると感じましたね。
母のためと言ってるのに、まるでもう老い先短い死ぬ人みたいないいっぷり。
「最後は穏やかに…」「安らかに」といったワードがね、もう…。
90歳の母だから、そういう言い方もわかるけど、質問と照らし合わせてもひっかかります。
本当に母の事を思っているなら、「少しでも長く生きてもらいたいから私が引き取りたい。」とか、「妹夫婦に優しくなるよう説得したい。」とかね。
「私も週に何度か実家を訪問したい。」という話になると思います。
やはり、この相談者の本音は、老い先短くなってきた母の遺産を4分割じゃなくて3分割にしたい。気に入らない婿にあげたくない。婿を養子からはずして、貰うものを多くしたい。でも、私は介護はしたくない。こんなところだと推測します。
なにが「母のため…」だい。
■自分の要求を「娘のため」と言うズルい相談者の回はこちら
また、婿が窃盗癖あるみたいな言い方をしていましたが、これって90歳の母の勘違いもあるかなーっと思ったのですが…。
以前ご紹介した回で、森田先生が、年を取ると同居している子供に当たるようになる、金にうるさくなる、これはみんなそう。仕方ないんだよ。と言っていました。
まさに、典型的な加齢症状が出てるだけのような気もします。
■介護問題の神回はこちら
これは、もう亡くなった私の祖母の話なのですが。
母の妹と同居していた祖母は、90歳近くなると、よく母に電話をかけてきていました。
その内容というのが、「母の妹が、あれもこれも勝手に持ってってしまう」という愚痴。
やはり、森田先生が言うように、加齢がそうさせているだけなんですよね。
ここで、一緒に悪口を言うのではなく、こんなに悪口を親族に言って回るような状態になっている90の母と、同居している人はどれだけ大変かを想像し、同居している兄弟の気持ちに寄り添う必要がありますよね。
あなたはどう考察しますか?
最後まで読んでいただきありがとうございました。