TEL相談・「もしかして…母でしょうか…」加藤との会話で本当に憎むべき人に気づく相談者

今回は夫婦間のトラブルです。夫が遺書を残して家出をしてしまい、戻ってこないという相談内容。

しかし、加藤諦三先生と話をしていくうちに、本当の問題点が明確になっていきます。

これぞテレフォン人生相談。加藤先生の鮮やかな回答をご覧ください。

 

放送を音声で聞きたい方はこちらから

目次

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今回の相談について

パーソナリティ:加藤諦三

回答者:塩谷崇之(弁護士)

 

相談者

53歳女性

 

家族構成

夫60歳…家出
長男23歳
次男17歳

※現在、夫が出ていき3人暮らし

 

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相談者の状況

 

 

相談者は53歳女性。夫は60歳。

子供は23歳と17歳の息子2人。

 

これまで4人で一緒に暮らしていたが、1ヶ月前に夫が家出をしてしまい、現在は3人暮らし。

現在、夫の居場所もわからない。携帯電話は留守電になってしまい、電源は切れている様子。

 

家出をした原因は、家族で夫を責めた事。

仕事での売上が下がってきている事や、現在持っている取引先の事を「ろくな会社が無い」などと言って責めてしまった。

 

加藤諦三:

つらいですね…。

もし、一生懸命仕事をしていて、それを家族で責められたら、ご主人つらいと思います。

 

ええ。本当に反省しています。

キツイ事ばかり言ったダメな女です。私は本当に…。

(加藤諦三:そのキツイ言葉とは、どんな言葉を使ったの?)

 

もう…。「甲斐性無し」とか、「顔も見たくない」とか…。

「あなたと出会わなければ、私はもっと幸せになれていたのに」とか、言ってしまった。

 

加藤諦三:

はぁー…。

長男が23歳ということは結婚生活長いわけですけど、最初のうちからこういう酷い事は言っていなかったわけ?

 

いや。

私たち夫婦はお互いにダメな夫婦で、主人はよく暴れる人だった。

そして、私は主人にキツイ事を言う女だった。

 

夫が暴れるというのは具体的に、私は暴力をたくさん振るわれ、息子も小さい時に暴力を振るわれていた。

また、家をボコボコに壊して出ていく。

 

そして、以前から何年かに一遍は家出をしてしまう人。

これまでに、56回は家出をしている。

 

いつもは、車で家出をしていた。

しかし今回、私が警察に捜索願を出したため車が見つかってしまった。

 

そのせいかどうだかわからないが、夫は1回車をこっそり置きに来て、その中に遺書めいたものまで書いて出て行ってしまった。

遺書めいたものというのは、「あの世に行きます。さようなら。ありがとう」という内容。

 

なので、家族で本当に心配して探しまくった。

 

加藤諦三:

今までに56回家出をしているとの事ですが、どのくらいしたら帰ってくるんですか?

 

えっと…。

2週間から、一番長い時で1ヶ月でした。

 

そして、戻ってくると私と話し合いをして、まず私が「私が悪かった」「至らなくてごめんなさい」「だから、もう1回この家でやり直しましょう」と、ひたすら謝る。

すると、夫も「じゃあ、なんとかやるか」みたいな感じ。

 

加藤諦三:

そうすると…。

一緒に住み始めると、また酷いことを言い出すわけですよね?

まぁ、繰り返す…

 

酷い事ばかりでは無いんですけど、私は口がキツイ女である事は間違いないです。

(加藤諦三:あなたの場合は、その…感情の起伏が結構激しいですよね?)

 

激しい方ですね。

イラっとする事も多い。

(加藤諦三:うん。イラっとも多いし、落ち込む時も落ち込むし。)

 

あ!落ち込みます。ものすごく落ち込みます。

(加藤諦三:だから落ち込むのと、逆に興奮するのと、この両極端を行ったり来たりするタイプですよね?)

 

確かにそうですね。

(加藤諦三:そうすると、ご主人と出会う前に他の男性と色々恋愛をしたり…)

 

いえ、主人が最初の人でした。

 

加藤諦三:

あぁ。そうすると、自分はこういう人間だからこういう風に生きていこうとか。

そういう感じ方をした事は無いですよね?

要するに、あなたは自分がまったくわかっていないんですよね?

 

私がわかっていないんですか?

 

加藤諦三:

そうなんですよ。

だから、自分探しがまったくできていない。

自分がわからないで結婚をして、また自分が掴みきれていない。

 

そして、親になっても、「自分は専業主婦が適している人生だ」という事ではなく、事実として今ここまで来ちゃったという事でしょ?

自分の意志で選び取っていないんですよね?

 

うーん…。

ただ、本当に生意気な言い方をしますけど…。

 

私どちらかというと、家に入って裏で上手に主人を操縦出来て。

主人が仕事とかうまくいけばいいなって。

そういう事をずっと願ってやってきました。

 

立派ないい男にしたいと…。

私も頑張ればなんとかなるんじゃないかと思って…。

 

だから、殴られてもいいから、主人の耳に痛い事を言ってきました。

はい。本当に生意気です。

 

加藤諦三:

いや、生意気ではないと思うんだけど…。

それじゃ5回家出されようが、6回家出されようが、暴力振るわれようが、あなた別れられないね?

 

私、別れられないです。

 

加藤諦三:

今言ったようなあなたの考えでは、よほど酷い事されてもダメなんですよね。

別れられないんですよ。

なんだか、自分の方が悪くなってくるの。

 

そうなんです。

私本当、自分を責めています。

子供からは「お母さんがそう言うから、お父さんが調子に乗るんだよ」と言われる。

 

だから、私、心を入れ替えて。

ダメなら「こんなのダメ」って言うんだけど…。

 

自分の悪かった事ばかり思い浮かぶんです。

「あぁ、そこはダメ。ここもダメ。ダメな女だ」って。

 

加藤諦三:

ダメな女だって言っているのが、一番気が楽だからね。

それで、あなたのご主人の方は逆にあなたの弱点を見つける事や、あなたに責任をかぶせる事が非常にうまいんでしょ?

 

うん。

それは息子に言われます。

 

加藤諦三:

うん。わかりました。

だいたい、あなたの姿もわかりましたし、ご主人の姿もわかりました。

 

今日の相談は、夫が家出をしてしまい戻ってこない。

でも、私は別れたくない。どうしたらいいんでしょうか?

 

 

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相談内容

夫が1ヶ月前に家出をしてしまい、音信不通で行方不明。

家出の原因は、家族で夫の仕事などを責めた事。

夫は家出中、1度車を置きに来て、その時に遺書まで残していった。

相談者は自分の行いを反省していて、夫に帰ってきてもらいたいと思っている。

夫に戻ってきてもらうためにはどうしたらいいでしょうか。

 

 

回答者の意見

塩谷崇之(弁護士)

 

まず今の状況だと、とにかく戻ってきてもらわない事にはどうしようもなくて。

戻ってきてもらえれば、今回の事も踏まえていろいろ話し合いもできるのかなぁ…と思うんですけど。

 

恐らく、ご主人は家を出ていったけれども、やっぱ家の事は気になっていると思うんですよね。

仕事の事も含めて。

 

とにかく、あなたがいろいろ反省している。

そして、「戻ってきて欲しい」と、そういう気持ちがある。

 

しかし、ご主人の方は「自分は戻っても居場所が無いんじゃないか」「帰ってきてほしくないんじゃないか」とか、そういう風に思っている可能性がある。

なので、あなたの方も…。

 

相談者:

一生懸命、帰ってきて欲しいという事を留守電やメールに入れているんですよ。

息子も「親父、帰ってきてくれ」と。

 

うーん。

まぁ、そういうメッセージを送り続ける事は必要なのかなと思います。

すでに見ていてくれれば、いいですけど…。

(相談者:えぇ。本当にそう思います。)

 

うんうん。

で、自殺をほのめかすような内容があったという事ですけど。

もし仮にね、本当に死のうと思ったら、なんだかその前に1回戻ってくるんじゃないかという風に思うんですよね。

 

あの…幸せの黄色いハンカチじゃないですけど。

戻ってきた時に、「あぁ、この家にやっぱり戻ろう」という風に思えるような、そういう用意をしておけば、そのシグナルに気が付いて戻ろうという気持ちになるかもしれない。

 

相談者:

あの、一生懸命待ってます。

家族で一生懸命待ってるんです。

ただ、お父さんが帰ってくる事を待っています。

 

とにかく戻ってくるまでは、メッセージを送り続けて…

(相談者:送り続けてもいいんですね?)

 

はい。

逆に、そうやって送り続けたメッセージが途絶えてしまうと、また心細くなってしまうかもしれませんのでね。

 

相談者:

逆に、いつもそうやって「帰って、帰って」言っていると、夫はいつでも帰れると思うからやめなよ、という人もいるし。

だから、少し間をあけなさいとアドバイスする方もいるんですけど、送り続けていいんですか?

 

うん。

私はその方がいいかと思いますけどね。

(相談者:いや、私も送りたくて仕方が無いので、その…我慢するのがつらいんです。)

 

そうですね。

あと、お子さんからもそういうメッセージを送り続けた方がいいと思いますよ。

 

 

 

パーソナリティの意見

引用:毎日新聞

加藤諦三

 

先ほど僕は、かなりあなたの立場に立って話したんですけど。

これからちょっとキツイ事を、

(相談者:どうぞ。言ってください。)

 

あなた、今ものすごく帰ってきて欲しいと思っていて、それはその通りです。

でも、帰ってきてもまた同じ事が起きます。

 

自我の確立がまったくされていないんですよ。

だから、その時々の感情で自分を責めた方が楽になると自分を責めているんです。

(相談者:あー…)

 

だけど、本当のあなたの核にあるのは何かというと…

誰か今までの人生で、本当に憎しみを持っている人がいるはずです。

(相談者:ひょっとして…。母ですか?

 

お母さんとどういう事があったの?

 

相談者:

母は酒癖が悪かったので、子供の時からものすごく苦労させられた部分があって…。

かなり飲んで、父と喧嘩になってしまったり…。

 

タクシーに乗って結構遠くまで行ってしまうので、心配で。

私も夜中でも母について、タクシーに飛び乗って、小学生の時から行っていたんですね。

母がどうにかなってしまうのではないかと思って、酔っぱらって変な事になったらどうしようと思って…。

 

そういう心配を毎日していたので、子供の時は夜ぐっすり眠れる事が無かったんです。

そういう毎日で、もうすごく自分が疲れていました。

 

ですから、自分が成長した環境に安心感がまったく無いんですよ。

安心感がまったくない中で成長しているから、自分というものがまったく無い。

(相談者:私は自我が強い女だと思っていました。)

 

まったく違います。

要するに、ワガママか、自分を責めるかどっちかなんですよ。

 

そして、自分を責めるのも、誰かに対する攻撃性がうまく置き換えられない時に、自分を責めているんですね。

ですから、ご主人を責めて、うまくいっている時はご主人なんですけども。

今のように、ご主人を責めるってのはできない状態になると、今度はその攻撃性を自分に向けて、私が悪い・私がダメだと言っているんです。

 

相談者:

いや、初めて言われて…すごく目が覚めた…。はい。

どうしたらいいんですか?

 

まず第一ステップはね、まず憎む事。

はっきり正しく。

(相談者:あ、いいんですか?憎んじゃって。)

 

うん。

憎まなきゃ、救いが無いです。

お母さんとの関係を整理しないと、ご主人が100回家出をしても同じことを繰り返します。

 

相談者:

はい。

じゃあ、私は1回母の事を1から思い出して…。

 

1から思い出した結果ね、人に対してどういう態度をとって、どういう気持ちだったか。

そして、あなた世界が自分に敵対していると思っていますから。

(相談者:はい。そうです。)

 

安心感が無いですから。

(相談者:ないです。はい。)

 

困った事があれば必ず誰かが助けてくれる。

この無意識の安心感がある人と、あなたみたいな人では、まったく違うんです。

 

あなた、今どんどん認めてくれているからね。僕の言っている事。

 

相談者:

うん。なんか…私…本当…自分にビックリ。

母を恨む事はいけない事だと思っていたので…。

 

そ!こ!なんです!

そこなんです!

 

母を憎む事は悪い事という良識がありますから。

この良識でみんな人生を棒に振ってしまうんです。

 

ですから、そこからスタートしてください。

ご主人との関係を回復するという事ではなく、自分がとにかく自分の足で歩こうという風に、考える事。

 

ご主人との関係を回復しようと思っていると、いつまで経ってもあなた救われないですよ。

(相談者:あぁ…そうですか…)

 

もう、あなた本当にご主人を好きなんだと思う。

(相談者:大好きです。恥ずかしいけど)

 

大好きなの。

その言葉、まったくその通りだと思うんですけど、実態は何かというと依存しているだけ。

(相談者:私が主人に依存しているんですね?)

 

そういう事です。

(相談者:あぁー…。)

 

だから、自分の足で歩き始めるという姿勢。

その姿勢で明日はどんどん開けてくるはずです。

(相談者:そしたら、本当に主人といい関係になれるかもしれませんね。)

 

そうしたら、そうなります。

 

相談者:

じゃぁ、頑張ります。

頑張ります。ありがとうございます。

 

大丈夫です。大丈夫です。

必ずできますから。

信じて頑張ってください。

 

 

リスナーの意見

収入無しの人が、稼ぎがどうだとか夫を責めるってどういう事?

このオヤジは絶対自殺なんかしない。
できない。

家族全員に責め立てられたら、誰だって家出たくなるわな。
味方1人もいないワケだし。

加藤先生も言ってたけど自我が無い人だから、加藤先生の指摘を無批判に受け入れるんだろうな。
こういう人は甘えられそうな人にはとことんベッタリだから、夫も息苦しかったんだろうとは思う。

相談者の周りの人で、「つけあがるからまだ優しくするな」みたいなアドバイスする人すごい。
恋愛の駆け引きではあるまいし。
本当に死んだらどう責任取るんだろう。

ままこの考察

これぞテレフォン人生相談。

相談者は夫婦関係の相談をしているのに、話は、幼少期や母親との関係へ。

現在の生きづらさや人間関係の悩みの「核」の部分へと迫っていく、加藤先生の神回でした。

この相談者は加藤先生と相性がいい。

 

この相談者の依存心は本当に強いですね。

依存心が強い人は、何かあると自分を責めるのでしょうか?

以前も「私が悪い…私が原因…」と自分の事を言っていた相談者がいましたが、この人も依存心が原因という結果でした。

 

また、これは私の勝手な考えなのですが…。

依存心が強い妻の夫って、アルコール依存症やDVが多すぎます。

耐えられないくらい妻が重たいのかな…

 

テレフォン人生相談を聞いていると、この傾向は非常に強いと感じます。

 

憎むべき人を正しく憎み、自分を内側から分析する。

「母を憎む事は悪い事という良識。この良識でみんな人生を棒に振ってしまうんです。」

本当にこの通りです。

自分の気持ちに蓋をせずに、ありのままの感情と向き合う事が重要!

 

あなたはどう考察しますか?

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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