TEL相談・妹が来ると嬉しそう…認知症の母に嫌われていると泣く相談者・介護問題の神回

誰もが直面する親の介護の神回。

認知症の母に嫌われていると号泣する相談者に森田先生のあたたかい回答が響きます。

介護に直面した時には、何度も聞きなおしたい回答です。

放送を音声で聞きたい方はこちらから

目次

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今回の相談について

パーソナリティ:加藤諦三

回答者:森田浩一郎(医学博士)

 

相談者

59歳女性…未婚

 

家族構成

父88歳

母87歳…認知症

姉…既婚・妹…既婚

※父と母と相談者の3人暮らし

 

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相談者の状況

 

 

相談者は独身で父と母と同居

父は88歳、母は87歳で、母親の方は去年から認知症を患っている。

 

現在、父の年金で生計を立てている状態。

今までは母親が家計をやっていたが、認知症なので計算ができなくなり父親の方にお金を預けるようになった。

親は相談者にお金を渡してくれない。

 

現在、相談者は仕事を辞めている状態。

一昨年までやっていたが、母親の具合が悪くなり仕事を辞めてしまった。

 

働いている時は、ちゃんと自分の事は自分で支払っていたし、自分の買い物は自分のお金でしていた。

今は働いていないので、家からある程度お小遣いはもらっている。

 

働いている時のお金は、自分で使ったもの以外は貯金をしていた。

(加藤諦三:その貯金を使う気はないんですね?)

 

将来、自分がもらえる年金額が年間96万という通知をみて、土地を処分したりしないと、両親が亡くなった後やっていけないと思った。

その貯金は、将来の時のために取っておきたい。

 

また、母親に料理を作っても「これは嫌いだ」とか、いちいち文句をつけてくる。

さらに、母親が父親に「あの子にはお金渡しちゃダメだよ」と言っているのも聞こえてくる。

 

母親は私の事が嫌いなんだと思う。

 

しかし、姉は「子供の頃は、お母さんは相談者の事を可愛がっていた」と言う。

だから、小さい頃は愛されていたと思うけど、きっと自分が期待外れだったから、母はがっかりしたんだと思っている。

 

相談者は結婚もしていないので、母はそこも嫌いみたいな態度をする。

一方、妹はそういう挫折が無くうまくいって、母が気に入ったような人と結婚もできたので、その人と子供を連れて妹が家に来ると母はすごく喜ぶ。

 

昨日も、夕飯のおかずを作ってあげようと思ったけど、いろいろと耐えられなくてやめてしまった。

今日も、朝起きれなくて、夕飯のおかずを作るのも嫌。お買い物いく元気もない。

 

もう、どうしたらいいのかと思ってて、そういう毎日が続いている状態。

 

相談するにも、相談相手もいない。

妹は親と一緒に暮らしていないから、理解できない。

 

母親もそういう言葉を妹の前では言わない。

相談者にだけきつく言う。

 

相談者からすると、姉と妹から置いてけぼりになったような感じ。

 

一方、お父さんは今でもすごく優しくて、相談者に対して全然怒ったりしない。

やっぱり年をとってくると、忘れっぽくなっていて、昔は尊敬していた父だが今は頼りなくて不安な所がある。

 

例えば、銀行に年金をおろしに行く時。

相談者がいつも一緒について行っているが、伝票を書き間違えてしまったり、入金伝票に書いてしまったりする。

一緒について見ていてあげないと不安な父になってしまった。

 

家計は年金でやっているけど、父が財布を握っていて、お金を渡してくれない。

貯金はあるけど、将来が不安なのでそこからは使いたくない。

 

 

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相談内容

相談者は未婚で現在、父と認知症の母と3人暮らしをしている。

家計の管理を母がしていたが、計算ができなくなり父にお金を預けるようになった。

母は私が嫌いなようで、ご飯に文句をつけたり、「お金を渡すな」などと父に言っている。

私は結婚もできなかったし、母は期待外れだったとがっかりしているのだと思う。

一方、妹は母が望むような人生を歩んだので、妹家族が来ると母は嬉しそう。

こんな状況で、何もやる気がおきなくなって、どうしていいのかわからない。

 

回答者の意見

 

森田浩一郎(医学博士)

 

ご苦労なさってますね。

(相談者:はい。ありがとうございます。)

 

私、老人医療をずっと手伝っていた事があるのでよく事情はわかります。

お父様の年金であなたが食べていられるという事は、まずあなたはお父様に感謝しないといけない。

 

問題はね、お父様の年金だけでやっている。

お父様からしてみれば、全部娘に渡しちゃうと心配なんだよ。年を取ると。

 

あなたがお母さまに嫌いだと思われてるとか、あなたの作った料理が気に入らないとか、あなたの思い過ごしでね。

全てお母さまの認知という加齢現象のせいで、自然の成り行きなんですよ。

 

そして、これは同居している人とか、自分の一番身近にいる人に我儘を言って当たるんです。

痴呆というのは、これからますます我儘になります。

 

それを、お子さんなり介護している人が一緒になって巻き込まれてしまってはダメなんですよ。

私はそういう仕事をしていたのでわかります。

 

その妹さんが可愛いというのは、たまに来るから。

たまに来る人にはあんまり我儘を言わないんです。

 

認知症の人は、自分の過去を思い出して、いい所ばっかり見せたがるんです。

人間と言うのは、外面が良くて内面が悪いと言いますよね?

それが痴呆になるとますます強く出るんですよ。

 

お父さん手続きがわからないから、銀行に一緒についていってあなたがお金をおろして、それをお父さんに渡すのはいいですよ。

でも、あなたが全て管理するんじゃなくて、使った分だけもらいなさい。

 

あなた今、「こんな親で嫌だった」とかそういう事思うでしょ?

(相談者:すっごく嫌ですね。)

 

それはもう、年を取った親を持っている子供としては仕方ないんですよ。

あなた子供の時はとっても可愛がってくれたって言うでしょ?

 

でも、親というのは年を取れば、やっぱり一番近い子供にいろいろ言うんだよ。

むしろ、あなたが近くにいる事が、このご両親生きてて幸せなんですよ。

 

ときどきデイケアに行ったり、あまりに酷かったらショートステイなどの老人施設に入れたりして様子を見たり、多少はお薬使ったりしてね。

 

お母さんのあなたの事を好きだ・嫌いだという感情は、もう彼女じゃないんですよ。

(相談者:あぁー…そうですかぁ…。)

 

お母さんの認知にあなたが引きずられたんじゃ、あなたがおかしくなっちゃうよ?

(相談者:そうです。なんだか鬱みたいな感じで何もする元気がなくなっちゃうんです)

 

僕がよくこういったお年寄りのご家族から聞く相談と、あなたの状況はまったく一緒です。

だから、あなたお母さまと同じ気持ちにならないで。

 

「この人が悪いんじゃないんだ。」「この加齢現象のせいで仕方ないんだ。」「1人で生きていけないから面倒をみるんだ。」と。

私は医者だからこういう目で見ますね。

 

たまたま、あなたの場合は親子なんだから、「情」があるから面倒をみれるわけでしょう。

他人がみるよりは、親子とか夫婦とか兄弟が面倒をみるほうがそりゃああたたかいですよ。

 

そんなこと言うと、介護してる人に怒られるだろうけど。

どんないい介護だろうと、どんないい医者だろうと、家族に勝るものは僕は無いと思います。

 

だから、あなたにお願いしたい。

今度は僕は年よりの立場で言うんだけどね。

 

どうかあなた…見捨てないでください。

(相談者:はい。わかりました。)

 

あなたはお母さまに巻き込まれないように。

お父さんには、必要な物だけはちゃんと言って、お金を貰いなさい。

 

年をとってもね、お金というのは人間欲があるのか、結構しっかりしてますよ。

かなり認知症の酷い人でもね、15日に来る年金を思い出しますよ。ちゃんと。

(相談者:そうなんです!笑)

 

今日は何曜日って言ってもわからないんだよ。

なのに、15日に年金が来ることは知っていて、そのお金ちょうだいって言うんだよ。

(相談者:そう笑!そうなんです笑!!)

 

お母さまこれからますます我儘になります。

ハッキリ言えば、赤ちゃんみたいになってきます。

(相談者:えぇー!そうなんですか?!)

 

赤ちゃん相手にあなた喧嘩したって仕方ないですよ。

「子供叱るな来た道や。年より笑うな行く道や。」という言葉があるでしょ?

 

あなただって、後20年~25年したらね認知症になる可能性ありますよ。

 

そういう事思ってね、一生懸命この両親の面倒を看てあげなさい。

明るく朗らかにいきましょうよ。

 

あなた自分で貯めたお金は一生懸命握っておきなさいよ。

しっかりしてね。お大事にね。

 

 

パーソナリティの意見

引用:毎日新聞

加藤諦三

 

1人の時間たまに作ってね。

冷静になる時間も作ってください。

 

加藤先生締めのお言葉
不安になりだすと、どんな小さな事でも顕微鏡で見てしまいます。

 

リスナーの意見

 

今にも倒れそうな声で泣きながら話していた相談者が、先生の回答に笑ったり、最後は少しシャキッとした声になっている。
納得したのかな。よかったよかった。

森田先生やっぱすごい。
認知症のメカニズムを医学的に説明しつつも、心を癒すカウンセリングもしてる。

最初は号泣してて、この人大丈夫かなと思ったけど、スッキリしたみたいだね。

最初は自分の金貯めこんでないで使えばと思ったけど、最後まで話を聞くとそうは思わなかった。
人の話はちゃんと聞くもんだ。

妹と姉は顔みせに来るだけ?
仕事も辞めて1人で介護しているんだから、金銭の援助くらいしてもいいと思うけど。

ままこの考察

 

いかがでしたでしょうか。

誰もが直面する介護問題の神回です。

 

森田先生の回答は本当に素晴らしい。

 

この相談者も、老人医療を研究していた医師から、「今のお母さんの好き・嫌いはもう彼女じゃないんだよ」「認知症がさせているんだよ」「介護に直面している家族と、あなたまったく同じ相談だよ」と言われて、心が救われたのではないでしょうか。

育ってきた背景や兄弟関係・親子関係は関係無し。
親を介護する子供は、みんな同じ事を思うんですね。

 

 

この相談者は、心の底で劣等感に苦しめられているのかな…と思いました。

「私だけ落ちこぼれてしまった」「私だけ親の期待に応えられなかった」という気持ちがあり、さらに介護を辛くさせているような気がします。

 

しかし、今回のアドバイスで「この人は親だけど、今まで私がどうしても認めてもらいたかった親ではないんだ」と、少し思考を切り離す事で楽にはなったのではないでしょうか。

 

それに普通に考えれば、親が認める素晴らしい相手と結婚した子供よりも、認知症の親と一緒に住み面倒をみている子供の方が、親にとってはありがたい存在だと思います。

 

認知症になる前なら、母親も「あなたがいてくれてよかった。本当にありがとう。」と、相談者に感謝してくれたかもしれませんよね。

きっと、この相談者は一生懸命やっているからこそ、母の感謝の言葉が欲しいんだと感じました。

でも、相手は認知症だから…無理なんだよね。
絶対、お母さん感謝してると思うけど…なんだかせつない。

 

 

それにしても、姉も妹も、もう少し相談者に寄り添って話を聞いてあげられないものか…とも思ってしまいました。

金銭の援助が無理なら、相談者の話を「うん、うん。そうだよね。」って聞いてあげるだけでもいいのに…。

 

何はともあれ、最後は相談者のスッキリした声が印象的な回。

介護問題に直面した時は、何度も聞きなおしたいと思える神回を紹介させてもらいました。

 

あなたはどう考察しますか?

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

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