
今回のテーマは過干渉。
過干渉の親の元に育った相談者は、大人になって毎日原因不明の不安と絶望感に支配されるようになりました。
マドモアゼル愛先生が、相談者の心を細かく分析してくれます。
では参りましょう。
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目次
今回の相談について
パーソナリティ:ドリアン助川
回答者:マドモアゼル愛(心についてのエッセイスト)
fa-check-circle相談者
31歳女性…独身
※1人暮らし
相談者の状況
毎日、不安で朝絶望を感じながら起きる。
何かがあったというわけではないのに、毎日、不安感が強くありつらい。
さらに、自分に異常性を感じている。
その時付き合っている彼氏など、とにかく人に依存してしまう。
メールをたくさん送ったり、ストーカーしてしまうという事ではないが、神様のような存在を創り出してしまうような感じ。
また、子供を虐めたくなってしまう。
例えば、友人の子供を見ていると「可愛いな」と思う反面、虐めたい気持ちも湧いてくる。
もし、子供と2人の空間になったとして、「殴っていいよ」と言われたら平気で殴れてしまうと思う。
相談者は31歳独身。現在1人暮らし。
仕事は、3年前からインターネットビジネスと、空いている時間にバイトをしている。
現在彼氏はいない。
両親は別で暮らしていて、父も母も現役で働いている。
自分でも毎日絶望にかられる原因が全くわからない。
ただ、相談者は小さい頃から、安心する時間というのが少なかった。
それをダラダラと引きずっているような感じ。
しかし、自分でもこれからの生活をいくらでも築いていけると思っている。
また、周囲の人にも恵まれているとも感じている。
だから、余計にこのような気持ちになる理由がわからない。
幼少期の家庭環境について。
相談者が小さい頃、育てにくい子供だった。
わがままを言ったり突拍子も無いことを言う活発な子供で、癇癪もよく起こしていた。
たぶんそれで、親は手を焼いていた。
今だったら、愛があったというのはよく理解できるが、すごく否定をされてきた。
「あんたなんか」という感じで。
そして、自分に対して親はすごく過干渉だった。
門限なども決まっていたし、帰宅時間などに過度に反応するような感じ。
他にも、自分が「友達にこういう事を言われた」と話をしたりすると、親はその友人に対して物凄い怒りを表してきたりした。
今は愛されていなかったわけではないとわかるのですが、当時は幼かったので「私は両親から愛されていない」と思っていた。
相談者は21歳の時に親元を離れ、1人暮らしは10年になる。
ドリアン助川:
親元を離れると、またちょっと違う見方もできると思うのですが…。
そいう部分はありました?
それで、今はすごく両親と仲が良い。
すごく両親が大切。
でも、大切な気持ちと小さい頃自分が愛されていなかったという気持ちが、裏と表にいるような感じ。
今日は、こういった不安感をどういう心持ちで解消していけばいいのかを知りたい。
相談内容
fa-check-circle原因不明の不安感と絶望感に支配される毎日。
fa-check-circle自分は彼氏にすごく依存してしまったり、子供を可愛いと思いつつも虐めたくなる異常性がある
fa-check-circle幼少期は親に否定されて育つ反面、親はすごく過干渉だった。
fa-check-circle小さい頃は「親は私を愛していない」と思っていたが、今は愛情だと理解している。
fa-check-circle自分で生きていく力はあるし、周囲の人にも恵まれていると思う。
fa-check-circleなのに、原因不明の不安感に支配されていて毎日辛い。
回答者の意見
マドモアゼル愛(心についてのエッセイスト)
あなたの今の状況は、あなたの責任では無い。
生い立ちから来る誤解と、その誤解がまだ解けていないという事。
まだモヤモヤとしているのに、表面的な結論だけは「両親と仲良くなりました」なんて言っていてるから…。
そりゃあ、おかしくなるよ。
過干渉というのは、子供を殺す。生命的に。
だから、自分の人生というのをここで投げちゃっているわけ。
あなたは、それを強要されたんですよ。
あなたは、子供を見て可愛いけど殴りたくなると言った。
これは、自分が置かれた状況を再現しているんですよ。
あなたは可愛がられながらも、噛みつかれ殺されかけてきたんですよ。
親の過干渉によって。
言っている意味わかるでしょ?
(相談者:わかります…泣。)
あなたは死んだんです。殺されたの。
だから、生きる本体が無くていつだって苦しい。
そこで、孤独になって生きてやろうと思えばいいものを…。
あなたは唯一の価値として、見捨てられる不安が占めているから、こんな事になってしまう。
(相談者:おっしゃる通りです…泣)
もう見捨てられたんだよ。
そこから、自分を作るしかない。
でも、あなたは21歳の時から、表面上だけでやってきてしまった。
だから、「両親から愛されていなかった」と思っていた時の方が元気だったはずだよ?
その時の方が、1人で生きられたんだもん。
(相談者:はい。そうです…泣)
でも、今は違う。
「本当は両親から愛されていた」なんて事言い出すんだもの。
そして、今は両親と仲が良い。
それでは、あなたが死んじゃうよ。
わかってるよね?言っている意味。
(相談者:わかります…泣)
あなたは、間違った人生観、間違った親子関係の捉え方をしている。
僕はあなたの親が悪いとは言わない。
しかし、結果的に親によって殺された人だと思います。
だから、誰も信じる事無く、見捨てられるなんて恐れを抱く事も無く、生きていくしかないよ。
すでに、あなたは見捨てられたんだから。
これは苦しい事だけど、「これが私の人生だったんだな」って学ぶしかない。
殺された子供が、これからどうやって生きていくのかと言うと、神様が助けてくれるんだよね。
でも、あなたは人に見捨てられる事を不安に思っているから、神様も手が出せないでいる。
あなたも言っていたように、自分で生きていく力はあるんだし。
子供の時のあなたにはない力が、今のあなたにはあるんですよ。
だから、1人を受け入れる。
そして、「私は親から見捨てられ、殺された子供である」と受け入れる。
だから、親の愛なんかはもう信用しないで、「愛なんか無いんだから」って思って生きていくとサッパリすると思うよ。
相談者:
あの…。
父と母が本当に優しいんですね。
たぶん私がもう独立して、1人で生きていく術を見つけて…
周りにも自慢できるような子供になったから…
すごく私の事を心配してくれたり…。よく、両親と出かけたりとか…。
親は、そうやってまとめたいだけ。
あなたの親は過干渉で、あなたを殺して生き延びた。
こういう言い方すると誤解されるからすごく嫌なんだけど、心理的にはそうなんですよ。
あなたの親も、実は弱い。
(相談者:そうですね。)
あなたのお母さんは、表面的にはあなたを大事にしながらも、一方では自分の無力感からあなたを虐めるという。
そういった、愛と憎しみが混在している分裂した中であなたは生きてきた。
それって、すごく罪が重いんですよ。
散々酷いことをしたのに、「大した事ないよね」って、上から埋めようとしている。
これでは、あなたはおかしくなってしまう。
よく、暴力団の男が弱いものを散々殴って、酷いことをするんだけど、次の日「あ!昨日は悪かったな!」って。
これが一番ズルいやり方なわけ。
すると、殴られた気の弱い男の子は「あんな酷いことをされたけど、決して悪い人じゃないんだ…」と思う。
もう心が殺されているから、そう思うしかない。
あなたのご両親が暴力団とは言わないけど、心理的な暴力団だった事は確かなんですよ。
そうじゃないと、こんな事にはなっていない。
辛くて悲しい事だけど認めて。
認めた上で、お父さん、お母さんと仲良くすることはいいと思うよ。
命は復活できます。
それから、あなたが子供を虐めたくなる時、これは自分だから虐めたくなるんです。
あなたは、お母さんを信じているけど信じていなかった。
この感情が、可愛いでも殴りたくなる、この分裂した気持ち。
何もおかしい事ではない。
ちょっと上手く言えなかったかもしれないけど、あなたがおかしいわけではないんです。
パーソナリティの意見
引用:Wikipedia
ドリアン助川
私、今、家が三宅島っていうとこにあるんですよ。
20年に一回、大噴火して、その度に島が死んだようになってしまう。
だけど、またそこから皆生活をはじめるんですよ。
「あぁ。なんだか人生に似ているなぁ…」と思う事があって。
命は1回しかないんだけど、人生の中で人は何回も死んだり殺されたりして。
そこからまた、生き返ったりって繰り返すような気がする。
今日こうやってお電話いただいた事が、きっかけになればいいな、と思います。
(相談者:大丈夫です。ありがとうございます。助かりました…。泣)
リスナーの意見
自分の事、すごくよく分析しているね。
相談しようと電話してきたんだし、あと一歩な気がする!
頑張れ!
一度、心療内科に通った方がいいかもね。
大噴火の話はスケールがでかくて、なんだかいい話だった。
あなたは親に殺されてる…ってすごい言葉だけど、本当にこれ。
相談者はここを認めないと。
ほとんどが父親が母親の相手をしない事が原因。
吹っ切れれば強いですよ!相談者頑張って!
ままこの考察
いかがでしたでしょうか。
「過干渉は子供を殺す」と…、本当にそうですよね。
愛先生の表現はさすがです。
過干渉は一見、「子供のため・子供が失敗しないため」と、子供思いのようにも思えます。
しかし、子供は、そんな親の価値観に合わせ続けた結果、本当に自分の好きな事やりたい事など「本当の自分」を見失ってしまいます。
過干渉の親の態度は「お前には無理だ」「お前は一人では何もできない人間だ」と呪いの言葉となり、その子供に憑りついてしまいます。
そして、子供も「これは私のために言ってくれている」と感じてしまうため、これを愛情と受け取り心が不健康になっていく…。
過干渉は、最もわかりづらい毒親の形態と言われています。
以前、テレフォン人生相談で過干渉の親の元に育った相談者に対して加藤諦三先生がこのように言っていました。
過干渉の本当の原因は、夫婦の問題。
夫婦がお互いに問題をぶつけ合えている関係であれば、子供には向かない。
夫婦関係に何かあるから、形を変えて子供へと意識が向く。
と。
リスナーの声にもありましたが、夫が相手をしてあげていれば妻は子供に対してこんなに過干渉になる事はないんですよね。
やはり、根本は夫婦の問題なんだと思います。
私も現在は母親の立場なので、過干渉される側から過干渉する側になりました。
なので、ついつい、我が子が心配で過干渉気味になってしまう親の気持ちもわかるんですよね。
そんな時は「失敗させてあげる愛」を意識して。
「我が子なら大丈夫!失敗しても大丈夫!」と大きな気持ちで見守っていられればと思います。
あなたはどう考察しますか?
最後まで読んでいただきありがとうございました。