
今回は、数年前に強制わいせつ未遂事件に巻き込まれた娘が、中学に入り意味がわかり、妹や相談者に当たるようになったという相談。
さらに、その犯人が現在も近所に住んでいるという恐ろしい状況。
大原先生が具体的な方法をアドバイスしてくれます。
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目次
今回の相談について
パーソナリティ:加藤諦三
回答者:大原敬子(幼児教育研究)
fa-check-circle相談者
45歳女性
fa-check-circle家族構成
夫46歳
長女14歳・次女10歳
相談者の状況
数年前、14歳の娘が強制わいせつ未遂事件に巻き込まれた。
その時は、まだ小学生だったため、意味がわからなかったようだった。
しかし、中学に入って、事件の内容がわかったようで、酷く親を罵ったり、妹を虐めるようになった。
親を罵るのは週に1度くらいの頻度。
罵る言葉としては、「あんたなんか何もできないくせに!」とか、「無能な人間だ」と言われる。
妹を虐めるというのは、兄弟げんかの酷いような感じ。
事件の時、「お母さん、知らないおじさんに連れていかれた」と、泣いて走って自分で逃げてきた。
なので、すぐに犯人もわかって、逮捕に至った。
(加藤諦三:恐怖感とか不安とか驚きという感情は、あなた共有してあげられたわけですね?)
数週間の間は、できたと思います。
当時、娘にわいせつという概念は無かったので、「ひとさらいの人に会って、もっと酷い目にあってたかもしれないのに、助かって良かったね」という形で話をしていた。
なので、話し合いが足りなかったかなと思ったりする。
また、現在もすごく近い所に、犯人が住んでいる。
先日、相談者が1人で歩いている時に、たまたま犯人とすれ違ってしまい、あまりの衝撃で息ができなくなってしまった。
中学の通学路の近くに犯人は住んでいるで、娘も会う可能性もある。
今でも、会ってしまえば娘はその人が犯人だとわかる。
犯人は一度逮捕されたが、未遂だったために、執行猶予という形で普通に暮らしている。
加藤諦三:
それは、あなた怖かったですよね…。
恐怖の体験というのは、大変長く続くものなんですよ。
長く続くというのは、記憶の中に焼き付いてくるんですよね。
普通の子だったら、こんな事ビクッと怖がらないのにな、でも、この子は…
あっ、それはあります。
クラスの男の子が怖くなって、学校に行きづらい時もあった。
加藤諦三:
でも、それではもう消えないのかというと、そうではない。
少なくとも男の子に対して恐怖の反応をしちゃうんですけれど、それを共有しながら「男の人は怖くないんだよ」と示していく。
例えば、男の人が来たらサッと2人で隠れたり、横道に入ってしまう。
こういうような、具体的な行動に表さないほうがいいんです。
怖いからといって、怖い行動をすると、その行動が元の動機を強化してしまう。
だから、男の人が来たら怖い!と横道によける事で、さらに怖くなってしまう。
恐怖に基づいた行動を、どんどんやめていく事で解放に向かう
決して、恐怖の感情を否定してはいけない。「そんな事怖くないよ」ってね。
だけど、同時に恐怖に基づいた行動を具体的にしてはいけない。
娘の方は、中2の時に症状が酷かったが、中3になって少し男の子が怖くなくなった。
それまでは、男の子がしゃべりかけてきたら逃げていたが、今では「バカ!」って言い返している。
(加藤諦三:あぁ…良かったですねぇ…。)
相談内容
fa-check-circle14歳の娘が数年前に、強制わいせつ未遂事件にあった。
fa-check-circleその時は何もわかっていないようだったが、中学に入り意味がわかり相談者や妹に当たるようになった。
fa-check-circle相談者へは「あんたなんか何もできない」「無能な人間だ」と言ってくる。
fa-check-circle犯人は現在も近所に住んでいて、相談者は偶然出会ってしまいショックで息が止まってしまった。
fa-check-circleこのような状況でどう娘に対応したらいいでしょうか。
回答者の意見
引用:大原敬子HP
大原敬子(幼児教育研究)
今日、不思議だなぁと思った事があったんです。
お母さんの心が重いのは、数年前のその事件の時なのに、今になってその心の重さで相談というのが、理解できなかった。
もう一つは、お嬢さんが「あんたなんか何もできない」と言った言葉が理解できなかった。
しかし、今わかりました。
お母さまは、観念的に事が起きた事はわかるが、実際に自分が受けていないので、観念的な言葉で子供を慰めたりする。
例えば、子供が怖い目にあい、その時に「大丈夫だよ」などと声かけをしている。
本来であれば、その時に「これ、どう対処したらいいんだろう…」って、今日の電話なんです。
ところが、数年経って今日の電話が来た。
それは、あなたがこの犯人に会って、はじめて「怖い」と思ったから、今日電話したんじゃないんですか?
そうなると、一番大切な時に、このお嬢さんに対処と対応をしていなかったとなりますよね?
それでも、このお嬢さんこんなに強いんですよ。
まず、どういう対応をすればいいかを説明します。
「お母さん怖い事があった!」と娘が飛んできて、抱いてあげる。
あのね、みんな誰でもあるの。
例えば、お母さんも電車に乗ってね、変な人がお母さんの手を掴んだの。
その時、お母さん「あ!お父さんどこにいるんだろう?!」って大きな声で言ったの。
そしたら、その人手を離したの。
追っかけてきた男の人がいたら、「お父さんどこー?あ!あそこにいた!」って、知らないおじさんでいいから、「お父さん!」って行きなさい。
学校の帰りに追いかけられている場合は、「助けて!」とは言わずに、知らない人の家に「ただいまー!」って入っていきなさい。
どこの家でもいいから、入っていくんだよ。
みんなそういう事があるの。
みんなそうやって、女の子は知恵を覚えていくの。
(相談者:はぁ~。具体的な…)
もう一つは、「お母さん明日学校の近くに行くんだけど、一緒に帰ろ」とかね。
このように、お母さんとの細かいコミュニケーションが大事だったと私は思うんです。
それをしていたら、お嬢さんが「あんたなんか何もできないくせに」とは言わなかったはずなんです。
娘さんは、説明ではなくて、具体的な対処が欲しかったんです。
女の子には「この時はこうするのよ、こんな時はこうするのよ」って、教えておくもの。
「かえってよかったね!覚えられて」って教えておく。
あなたは近くの警察や交番に、月に1回は行っていますか?
(相談者:行っていません。)
対処ってそういう事なんです。
これを4年間行っていれば、違った。
子供が、「何があっても、誰かが私を守ってくれる」と思える事をやらないといけない。
それが彼女の言った「あんたなんか何もできない」と、そういう事なんです。
(相談者:「あんたなんか何もできない」というのは、私の転職と関係がある事なんです。)
それは、転職を言っているのではない。
(相談者:いや、違います。)
あのね、子供が親を責める時というのは、「あなたは私の気持ちがわかりますか?!理解しているの?」と言っているんですよ。
今、言葉を言葉として捉えてしまう親が、多いんですよね。
相談者:
いえ、何もできないと言ったのは、ちょうど私の転職の時で、前職がすごくいい職についていたので、それを辞めたため酷い言葉を言ってきた。
同居している祖母がそういう偏見の目が強い人で、そういう事を吹き込まれていて…。
あのね、お母さん今私きつく言っているので、責められていると思ったんでしょうね。
今、どんどん話の枝が広がってきて、当初の相談とは違ってきていますよね?
そのくらいあなたの心の中が安定しないものがあるんです。
そこに今回の男の人に出会ってしまったという、恐れと恐怖があるわけでしょ?
ちょっと、私が言い方変えますね。
責めているように思ったかもしれないけど、あなたとお嬢さんだけの関係で、今日の話は絞りたいんです。
その時、お嬢さんには「お母さん、ここを受け入れて欲しかった」という気持ちがあるはずなんです。
お母さんもまだお若いから、そこまでいかなかったというのは確かなんです。
お嬢さん自身、心の傷は絶対あると思う。
でも、よくお嬢さんここまで1人で立ち直ったなと思うんです。
お嬢さんは、本当は心の奥のものを求めているんです。
でも、今、会話などあまり交流できていないですよね。
そうすると、あなたの心が安心する事が一番。
あなたが微動だに動かなければ、お嬢さんはこのままいくと思っているんです。
(相談者:娘はとてもいい方向に向かっていると思います。ちょっとずつ、良くなってる。)
今日から、自分がやるべき事をやるのが大事でしょ。
娘さんを買い物ついででもいいので、堂々と迎えに行ったらどうでしょうか。
通学路の所に交番はありますか?
(相談者:はい。あります。)
1ヶ月に1回は行ってくださいね。
娘さんにも、時々「お花持ってって」などと言って、お母さんのお願いで行かせる事も必要。
これは、私が知っている経験であった事なんですけど。
月に1回、子供にお花を持たせた。
すると、お巡りさんが子供を見かけると、声をかけてくれるようになる。
そのお陰で、自分がなんとなく守られているような気になるし、親の方も心が落ち着いた。
その間に、娘さんも知恵がついた。
これは、実際に成功した例です。
今日の相談は、娘さんそのものではなく、あなた自身の心の安定。
もう一つは、娘さんの反抗期なんですけど、お母さんもう少し心を読み取るという事。
言った言葉は、事実では無いですから。
その心を受け入れる能力があれば、本当に幸せになるんじゃないかと思うんです。
パーソナリティの意見
引用:毎日新聞
加藤諦三
具体的ないいアドバイスを受けましたよね。
お嬢さんが、これからいろんな事で、あなたに対する不満を言ってくる。
それは、その事で言っているのではなく、元には未遂事件の恐怖で言いたい事で言えなかった事がある。
(相談者:それは、あると思います。)
そういう形で言ってくるかもしれませんけど、それも受け入れてあげるという事だと思います。
リスナーの意見
犯人が近所に住んでるって、怖すぎる。
未遂だからって執行猶予ってどんな考えだよ。
性犯罪は再犯率高いんだから、ぶち込んでおいてくれ。
急にこの相談者、姑の話出してきたり…。
やっぱり、このお母さんの問題のような気がしたな。
めちゃくちゃ役に立つアドバイスじゃないか!
娘を持つ親にとっては、神回です。
旦那さん何しているの?話に出てこないんだけど。
お母さん「いや、違います!」とか。
対処できなかった痛い所をつかれて、話を別の方へ向けてしまう…。
大原先生はそういう事を言っているのに、批判を恐れて逃げてるようではダメだよ。
お母さん、現実を受け入れないと。
ままこの考察
いかがでしたでしょうか。
これは、性犯罪から身を守る知恵を身につけられる神回だと思い、紹介させてもらいました。
私も小中学生の時、暗くなってきた道を1人歩いて帰るのは、本当に怖かった記憶があります。
具体的な方法を知っているだけで、心にお守りがあるような、安心した気持ちになりますよね。
✔ 知らない人でも「お父さん!」と声をかけて近づいていく。
✔「ただいまー!」と知らない人の家に入っていく。
これら、なるほど~と思ってしまいました。
例え家が施錠されていたとしても、追ってる子が家の敷地内に入っていってしまったら、もう犯人も諦めるのではないでしょうか。
この情報を大人が共有していれば、知らない子が「お母さん!」と自分に駆け寄ってきた時にも、ピンと反応する事ができますね。
また、私はこの相談者が急に姑の話を出してきた時、違和感を感じました。
恐らく、私への批判は「娘の事件のせい」と思っていて、「娘の事件の対処を、思うようにできなかった私のせい」とまでは思考がいっていないのかな、という感じ。
そして、大原先生が「よく娘さん1人でここまで」と言ってきましたが、もしかしたらお婆ちゃんが心のケアしてくれてたのかな?とも思いました。
相談者の話だと、娘は完全にお婆ちゃん側についているような口ぶりでしたよね。
お婆ちゃん側について、実の母に暴言を浴びせるなんて、珍しいケースだと感じました。
ここからは完全に想像になりますが、もしかしたら、お婆ちゃんが「大丈夫だよ、かわいそうだったね」と、娘をずっと慰めていたのかもしれません。
この家庭で、嫁姑バトルがなんとなく起こっている事は想像できますが、娘がかたを持つ方こそが、娘の求めているケアをしてくれた人だと。
お婆ちゃんに軍配があがっているのかな…。まぁ、これは勝手な想像になりますけどね。
とにかく、大原先生お見事でした。
あなたはどう考察しますか?
最後まで読んでいただきありがとうございました。