仕事はやる気が起きなくて欠勤しているのに、友達との飲み会は楽しく過ごせる。
大学には行けないのに、趣味では活動的になれる。
一見、ただの怠けや甘えに思えるこの症状ですが、このような症状がある人は「退却神経症」を疑った方がいいかもしれません。
この記事では、退却神経症とは?どんな風に生活に出てくる?なりやすい人の特徴や、対処法など、徹底解説していこうと思います。
目次
退却神経症(ノイローゼ)とは?
退却神経症とは、本業は元気が無いが、本業ではない副業や趣味などでは元気になる状態のことを言います。
全てに無気力になってしまう、鬱病とは少し違います。
退却神経症は精神医学者の笠原嘉氏によって提示されました。
本来やらなくてはならない事からの撤退や、果たすべき社会的責任の放棄の症状が見られるものの、本業以外の意欲はある程度維持される所が大きな特徴です。
なぜ、本業のみ無気力・無関心になってしまうかと言うと、以下のような自己防衛が働いていると言われています。
fa-check-circle本気を出して挫折したくない
fa-check-circle本気を出せばうまくいくという可能性を残しておきたい
fa-check-circle社会的に低く評価されたくない
退却神経症の事例
では、どのようなものが退却神経症と言われるのでしょうか。
発達段階や環境により現れるものが違いますが、簡単にまとめると以下の通りです。
fa-check-circle児童期・・・登校拒否、学校恐怖症
fa-check-circle青年期・・・長期留年
fa-check-circle社会人・・・出社拒否、欠勤
fa-check-circle主婦・・・家庭放棄
さらに、以下の症状も退却神経症が関係しているとされています。
■スチューデントアパシー
大学生が専門分野の講義やゼミに関心を失い、欠席が多くなる症状です。
留年や退学に発展する事もあり、高学歴の男子学生に多いとされています。
■アブセンティズム(欠勤症候群)
社会人が仕事への意欲を失い、欠勤が増える事を言います。
本業の仕事のみ無気力になり、手につかなくなります。
■思春期の登校拒否・ひきこもり
原因不明の登校拒否やひきこもりも退却神経症が関係しているのでは、と言われています。
思春期の中高生に発生し、いじめや直接的な問題が確認できない場合に限ります。
退却神経症の原因
退却神経症は、これという特定の原因があるわけではありません。
ただ、退却神経症と深く関係している「スチューデント・アパシー」の原因については以下の事が言われています。
fa-check受験勉強による疲労
fa-check無目的な進学
生きる目的の模索
fa-check期待と希望に対して、思い描いたものと違った失望
このような事が原因で、今まで真面目に大学に通っていた学生が、突然、勉強に関心を失い、欠席が多くなると言われています。
退却神経症になりやすい人の特徴
また、発症しやすい人の特徴は以下の通りだと言われています。
fa-check-circle几帳面で真面目
fa-check-circleおとなしく、手のかからないいい子
fa-check-circle完全主義で妥協ができない
fa-check-circleプライドが高くて挫折を受け入れられない
fa-check-circle負けず嫌いで優劣に敏感
fa-check-circle環境の変化に敏感
fa-check-circleストレス耐性が低く逆境に耐えられない
fa-check-circle自分の目標がない
fa-check-circle他人や社会からの評価に敏感
fa-check-circle勝負する前に降りてしまう傾向にある
退却神経症の対処法
まず、有効だとされている対処法をいくつかご紹介致します。
fa-check-circle治療を受ける
…カウンセリングで無気力になった時期までさかのぼり、自分と向き合う
fa-check-circle高くなり過ぎた目標設定を修正する
…自己愛より高くなり過ぎた目標を低く設定できるように意識する
fa-check-circle生活リズムを整える
…朝の気分が落ちないように調整する
fa-check-circle頑張りすぎない
…真面目や几帳面な性格による頑張り過ぎに注意する
fa-check-circle学校や職場で目標となる人を見つける
…学校や職場で目標となる先輩を見つけると治るケースもある
まずは、自分にもできる事、やれそうな事に手を出してみる事。
自分にもできそうな事を選別し、特定していく事が退却神経症からの回復の一歩になります。
失敗する未来を恐れて行動できないというままでは、退却神経症を脱する事はできません。
退却神経症を治すには、自己愛の強さから高くなりすぎている目標設定を、実現可能なレベルに修正していかなくてはなりません。
また、早寝早起き、適度な運動、朝日を浴びる、タバコやアルコールを控えるなどの基本的な生活リズムを整える事も有効だと言われています。
退却神経症のまとめ
いかがでしたでしょうか。
① 退却神経症とは、本業は元気が無いが、本業ではない副業や趣味などでは元気になる症状の事。
② 退却神経症は、児童期の登校拒否や、青年期の留年、社会人の出社拒否・欠勤などに現れる。
③ なまけものと思われがちだが、真面目で几帳面ないい子が陥りやすい病気。
④ 退却神経症を治すには、自己愛の強さから高くなりすぎている目標設定を、実現可能なレベルに修正したり、生活リズムを整える事が有効とされている。
「新型うつ」と呼ばれたりするこの症状は、本業以外は普通に生活できるため怠け者と思われてしまう事も多いです。
このような症状があると、周囲の人も理解する必要がありますね。
神経症についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、こちらも是非読んでみてください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。