さまざまな問題として取り上げられる「神経症者」や「神経症的要求」という言葉。
しかし、心理学に精通した人でもなければ、なかなか馴染みのないものだったりしますよね。
よく耳にするけど、なんとなくしか理解できない人は多いのではないでしょうか。
そんな人のために、この記事では。
神経症とは?
神経症的要求とは?
どうして神経症になってしまうの?
自分が神経症者だった場合はどうすればいい?
これらついてわかりやすく解説していこうと思います。
目次
神経症とは
まず、神経症には3つの反応のパターンがあります。
それは、以下の通りです。
【反応のパターン】 | 【特徴】 |
① 人に近づく | 人から必要とされる事で自分の価値を見出す。 自己犠牲的に人と接する。 |
② 人を攻撃する | 弱さを隠そうとし、人より優れているようにふるまう。 人を攻撃し、支配・利用しようとする。 |
③ 人から離れる | 人に依存せず1人でいたいと思う。 「あいつら何が楽しいんだ」とすねているような状態。 |
このように神経症は3つにわかれていますが、全てに共通している事は激しい劣等感を持っているという事。
神経症者の内面は、劣等感に支配されています。
カレン・ホーナイの「神経症的要求」とは?
次に、加藤諦三先生がテレフォン人生相談などでよく口にする「神経症的要求」の説明から参ります。
「神経的要求」とは、アメリカの精神科医であるカレンホーナイにより提示されたものです。
カレンホーナイによると、神経症者の要求には以下の特徴があると言います。
- 愛情と承認への欲求があるか
- いざというときに、自分の人生を引き受けてくれる相手がほしいか
- 自分の生活や行動を制限していつも目立たないようにしているか
- 権力を崇拝・服従し、弱いものを軽視・支配するか、支配欲が強いか
- 人に勝つためには手段を選ばず人を利用するか
- 社会的に認められて名声を博したいか
- 人に誉められたいか
- 人に負けたくないか
- 自律と独立への欲求が強いか
- 完全で非の打ちどころがない状態を欲するか
参考:ひろみの勉強部屋
でもこんな人っているよね。
めちゃくちゃな事を言っていますよね。
すごく簡単に言うと、「私を大事にしろよ!」です。
加藤諦三が言う神経症者の要求の4つの特徴
カレンホーナイの10の特徴では、ピンとこなかった方はこちらも見てください。
加藤諦三先生により説明されている「神経症者の要求の特徴」は、主に4つあります。
- 要求が非現実的
- 要求が自己中心的
- その要求に見合った努力をしていない
- 要求に復讐性がある
順にご説明しますね!
1.要求が非現実的
例えば、自分が病気になり入院した場合。
「見舞いに来るのが当然だ」「見舞いに来ない奴はありえない」「なんて薄情なやつなんだ」と思う事だと言います。
普通の人であれば、「あの人は仕事が忙しいから…。」とか、「何かこれない事情もあるんだろうな。」と、人の立場に立ってその人の都合を考える事ができますよね。
しかし、神経症者にはそれがありません。
よって、要求が非現実的で(神経症者から見た)超理想論になってしまうわけです。
2.要求が自己中心的
自分が良かれと思ってしたことが相手にとっては迷惑だった、こんな経験って誰にでもありますよね。
普通の人であれば、その理由などを知れば「あちゃーやってしまった…。それは迷惑だったね…。」なんて反省します。
さらに「次はこんな失敗をしないように気を付けよう」と思ったりするものです。
しかし、神経症者は違います。
「私がこんなに良くしてるのに!!なんで感謝しないんだよ!」と怒りに変わってしまうのです。
神経症者は、相手の気持ちや都合はいっさい考えないため「私は!私は!」と、まさに自己中心的になってしまいます。
そして、物事がうまくいかなくなると、「私がこんなにしているのに、誰も私をわかってくれない。」と言い出します。
3.その要求に見合った努力をしていない
次は、こちらの特徴について見ていきましょう。
例えば、子供が小さい時に激しく虐待をしていた親がいるとします。
そんな親に限って、自分が老人になった途端、その虐待していた子供に「介護しろ」と迫ったりします。
普通の人であれば、かなり理不尽な事を言っていると感じるのですが、神経症者は「子供が親を介護するのは当たり前だ!」と自分の行動を棚に上げて要求してきます。
どの口がいってんだ!
4.要求に復讐性がある
神経症者は「理想の自分像」を強く持っていて、理想の自分と現実の自分の乖離に苦しめられています。
そして「周囲を見返してやりたい」という復讐心を持っているため、現実の自分には到底無理な大成功を望んでしまい、さらに大きな乖離を生むという悪循環にはまります。
例としては、社会的地位や名声、富などを必要以上に追い求めていしまうという特徴が挙げられます。
テレフォン人生相談を聞いていても、世間体を気にする親って強迫的に理想を追い求めていたりしますよね。
神経症になる感情は「怒り」
そもそも、神経症者になってしまう人と、ならない人と何が違うのでしょうか。
それは、幼い頃に怒りの感情を抑圧した事が原因だと言われています。
親に対して「反抗なんてできない。主張したら嫌われる。」こんな感情を持ち、怒りを放置した事が原因です。
親に対する怒りを抑圧した事により、神経症の土台は作られてしまいます。
そして、親に大事にされなかったと無意識に感じている人が、「私を大切に扱えよ!」と反応し、問題を次々と起こすというわけです。
原因は、悲しみでも不安でも寂しさでもなく「怒り」です。
加藤諦三先生の言葉で言えば「敵意」!
神経症から抜け出すためには?
ここまで読んで、「あれ?私自身が神経症なのかもしれない。」「この生きずらい人生変えられないの?」と不安に思った方もいるのではないでしょうか。
そこで、神経症を抜け出す方法として一つの解決策を提示させてもらいます。
fa-check-circle自分は「(親に)怒ってる」と気づく
fa-check-circle人に認められたいという承認欲求を捨てる
fa-check-circle自分で決める・自分で選ぶ
fa-check-circle自立する不安に打ち勝つ
fa-check-circle幼少期に戻ったと仮想して、親に「私はお前が思うような人間ではない!」と言ってやる
そして、とっておきの対処法として「周囲へ期待しすぎない事」もオススメします。
例えば、自分が入院した例で考えてみます。
周囲への期待が高い神経症の人は「見舞いに来るのが当然だ!」「来ないなんてけしからん!」と来ない人に対して、怒ります。
しかし、周囲への期待が高くない人であれば、「忙しいのに見舞いに来てくれたんだ。ありがとう。」と来た人に対して、感謝するわけです。
起こった出来事は同じなのに、こうも感情が変わってきます。
どっちが生きやすい人生かは一目瞭然ですよね。
自分のためです!
まとめ
いかがでしたでしょうか。
① 神経症は大きく3つに分けられているが、共通する事は劣等感を持っている事。
② 神経症的要求の4つの特徴は、非現実的、自己中心的、努力に見合っていない、復讐性がある。
③ 神経症的要求を簡単に言うと「私を大事にしろよ!」という感情。
④ 神経症の原因は、幼少期に親への怒りを抑圧した事だと言われている。
⑤ 神経症者は自分のためにも、周囲に期待しすぎない事。
この記事をまとめるとこのようになります。
テレフォン人生相談のリスナーとしては、はずせない「神経症」への理解は深まりましたでしょうか。
この記事が参考になれば幸いです。